カウンセリングのすすめ

心理カウンセラー小林宏の散文

適性と適応(職業選択)

職業選択においては、自分がどんな職業、職種にむいてるかという、いわゆる「適性」を見極めるということは、最も重要な要件である。

自分の適性を見極めるといっても、客観的な証拠がないだけに、誰にとってもそう容易なことではない。

そこで「適性」を見分ける一つの観点として「どんな仕事をやりたいか」「何が好きか」という、自分の「興味・関心」を職業選択の基準にするということがある。

「興味・関心」ということなら、自分を正直にかつ正確に見ることが出来れば、一体自分が何をやりたいか、どんな職種が好きなのかを見極めることは出来るはずである。

自分にとって本当に「興味・関心」のある仕事を見出せたとすれば、それは自分の「適性」を見出せたといってもいいのであろう。

そして、どんな職業でもつまづきや挫折を経験する。それを見るとき「適性」の観点の他に、「適応」という重要な観点がある。

仕事につまずいたり挫折したりしたとき、人はこの「適性」と「適応」を混同しがちであり、これを混同してしまうと、益々深みにはまってしまうことが多い。

「適応」とは職場環境、そこでの人間関係、労働条件などに順応しながら、自分らしく仕事ができるかどうかということである。

それが思うように職場に順応出来ず、自分に対しても不適応感を持つならば、それはもともと社会生活を円満に送ることが難しくなっている「心理的不適応状態」か「心の病気」を持ってるか、問題に直面したとき、それを無難に処理し克服していく力が十分に育ってない「未熟さ」「心の貧弱さ」の表れかのどちらかである。

一つのミスを犯したとき、その挫折感をどうやって克服し脱出していくか、その道筋をうまくたどれないでいるとき、人は適応ではなく適性を軸に考えやすい傾向がある。

自分自身に目をむけ、自分の問題と取り組み、克服するということより、自分に向かない仕事だったのだと新しい仕事を探すほうが楽だということだろうか?
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