カウンセリングのすすめ

心理カウンセラー小林宏の散文

人間の潜在力への信頼

どのようなカウンセリングや心理療法であっても、クライアントが直面している困難な心の問題や悩みを克服し成長することを援助しようとするならば、そのクライアントが自らそれを成し遂げる潜在力や前進的傾向を必ず持っていると信頼するのが大前提になる。

もし、この人はもう自分の力で立ち直っていくことも、自分の力で自分の問題に取り組んでいくこともできないとみなすなら、カウンセリングも心理療法もその時点で成立しない。

これは教育やあらゆる人間関係においても同じである。

人が人の力になる、人が人の心の援助をする場合は自覚してるかどうかは別にして、この潜在力、前進的傾向への信頼があって初めて成立する。

そしてその確信を拠り所にするしかない。

仮に「あいつは駄目だ」「彼はどうも立ち直れない」と思いながら様々な働きかけをしても全く無意味である。

しかし、この「人間の潜在力、前進的傾向」は無条件にいつでもどんな状態の人間にも必ず発動するわけではない。そのような安易な考え方を持ってカウンセリングや援助的な関わりをするならば失敗してしまう。

現実には、一旦様々な悩みからつまずいてしまった場合は、そう簡単には発動しない、というより困難に近いと思われる。

しかしたとえ困難に近いことか現実だとしても人間が人間と関係を持つ、その関係のなかでお互いに助け合ったり成長していこうと思うならばこの「人間の潜在力、前進的傾向」を信頼することから出発するしかない。


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