カウンセリングのすすめ

心理カウンセラー小林宏の散文

正確に自分を語る

自分自身の中にある何かを再認識し実感し、その結果自分が変わる。

立ち直る、成長するためには自分の内面を見てそれを正確に語る場が必要である。

自分の内面を正確に見て語るということは、何も悩みや問題に直面したり、壁にぶつかったりした場合に限って意味があるというわけではない。人間が健康的によりよく生き、自分の能力を十分に発揮し成長するためには、誰にも必要な作業である。

アメリカの裕福層では子供が大学生の時は専属のカウンセラーを付けるのが当たり前になっている。

しかし正確に自分を語ることは実際にはそう簡単なことではない。

自分にとっては触れたくないこと、認めたくないこと、ごまかしたいことなどさまざまある。漠然として明確になってこないこともある。無意識に抑圧されてるものもあるかもしれない。

正確に自分を語るとは、これらのこともすべて、じっくり時間をかけてでも正直に認め、言葉にするということである。

自己否定、自己不信を抱いてる場合には自分を見つめ正確に語っていったら、自分の中から何が出てくるかわからない。とんでもない何かがでてくると思いがちである。また絶望を実感することになり、逃げ出したいと思うかもしれない。そこには絶望と隣り合わせといった危機もある。

カウンセリングとは自分一人ではなかなかたどりにくい、自分でも認めたくないような自分を見つめ正直に語るという、そんな場を提供することでありカウンセラーとはその同行者である。

時としてそれは真っ暗闇のトンネルの中を入っていくような恐怖感をともなうかもしれない。カウンセリングとは救い上げるというよりはおそるおそるでもクライアントのペースで同行していくことである。

そして無理のないペースで自分を正直に見つめ語っていくとしたら、やがてその先には必ず自分にとって実りの多い明るい世界や自分自身を見出だすことが出来るのである。
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