カウンセリングのすすめ

心理カウンセラー小林宏の散文

無条件の肯定的配慮

無条件の肯定的配慮とはクライアントがたとえどのような話をしたとしてもそれに対し肯定的な気持ちと関心を持って耳を傾けることが出来るという意味である。

これはなかなか難しい。しかし「無条件の肯定的配慮」が常に存在してなければカウンセリング関係は成立しない。

ところで、一般の会話での「無条件の肯定的配慮」はさらに難しい。

しかし人間関係が「よりよく」また「暖かく」である場合には必ずそこには「無条件の肯定的配慮」が存在している。

また、相手に対して好き、わかる、素晴らしいといった肯定的な感情を抱くことを「肯定的感情状態」といい、相手に対して嫌い、嫌だ、腹が立つといった否定的な感情を抱くことを「否定的感情状態」という。

よりよい人間関係、暖かい援助関係は相手に対して肯定的感情を抱いていないと成立しない。

暖かい援助関係とは、相手に問題や間違いがあってもそれはそれで正確に認識しながら、同時に相手に対し肯定感情状態でかかわることが出来るということである。

もし相手に否定的な見方を持ち、それを否定的感情状態の中で指摘やアドバイスをしても相手にただ反発されるだけである。

否定的感情状態からの働きかけは基本的に人の心をよりよい方向へ動かすことは出来ない。

一般に「トコトン話し合うことが大切だ」とよくいわれるが、お互いが否定的感情状態でその感情が変わらないままでの話し合いは益々否定感を増幅させるだけである。

その場合、感情を変えることの取り組みが先である。
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